頂く程に、好きになる味
頂く程に、好きになる味
食べ物の嗜好は本当に千差万別ですね、私の好きなあの食べ物は最高と思っていましたら、近しい友人から「そうかい、あれはどうなのかな」と言われ、これは美味しかったのでと友達に進めましても反応無しも珍しくありません。
私は食べることが好きなのでたまに行く旅先でもあれを見、此処へというよりはその旅先の美味しい食べ物に先ずは目が行きます。
旅先の宿の決まった夕食を頂くより、そこの土地のお店に入り、お酒と共に頂く地元の美味しい食材を使った食べ物を頂戴致しますのが何よりの楽しみです。
過日も少し時間が出来ましたので、お寺の留守番を息子に頼み、今まで行きたいと思いながら実現出来ませんでした、福井県の曹洞宗の本山、「永平寺」を尋ねる機会を得ることが出来ました。
京都から車で二時間程でしょうか、綺麗な日本海の景色と深い山並みの中を走り、更に山奥へ進みますと閑静なたたずまいの中に壮大なお寺の伽藍が見えてきました。
私が住職をさせて頂いています霊源院は臨済宗という禅宗のお寺です。
本山はご存知のように東福寺となります。
永平寺は道元禅師というお坊さんが福井県の山奥に修行に専心致す為に建立なされたお寺です。
そして曹洞宗の本山であり、修行道場がありますので今も多くの若い修行僧が日々修行をなされているとのこと。
近づきますと、山奥ではありますが賑やかな門前町が目の前に広がり、お商売熱心な地元のお店に少し違和感を感じながらも進みますと、大きな杉木立に囲まれたお寺の建物が眼前に迫って来ます。
確かにこの山奥によくぞ建立なされたと思う程の大きな建物が目に迫って来ます。
宗派の違いからくる佇まいの違い、様々な違いを経験させて頂き、お寺を後に致しました。
そして、今回のもう一つの目的、「福井名物のソースカツ丼」を頂く為に、目的のお店に向かいました。
敦賀市に友達がおりますのでもう何回も頂いている味です。
頭にその味を想い、店へと向かいますと、お寺の見学とは別なわくわく感が頭を占めて行きます。
昨年の年末に福井からお越しの水子供養のお方との「ソースカツ丼」談義が盛り上がりましたことを思い起こしながら走り、店へ到着いたしました。
早速に注文を致し、待つこと暫し。
何回も頂いている丼が変わらぬ姿で届きました。
甘酸っぱいソースに絡められた、「かつ」を蓋にとり、先ずはソースに絡められた白ご飯をほうばります。
変わらぬあの味が口の中に染みわたり、至福のひと時となりました。
人それぞれにに食べ物の嗜好は違うのですが、この「カツ丼」は私にとっては頂く程に好きになる味であることを一人心で頷いていました。
満足感と共に無事に家路に着くことが出来ましたことも書き添えさせて頂きます。
食べ物の話だけで恐縮ですが、人とのお付き合いの中でも、「あの人とは付き合う程にその人柄に引かれるね」位を言われるように研鑽致さねば、「カツ丼」に恥ずかしいかなとの想いも頭をよぎることでした。
さて、明日からは全国的に、本格的な寒さが到来のようです、遅れていた京都の紅葉も追いつくかもしれません。
考えて見れば師走がすぐそこ、どなた様も寒さ対策を万全にこれからの日々、お過ごし下さい。