肌の温度が伝わる、手合わせ

2024.06.29

肌の温度が伝わる、手合わせ

少しタイトルから離れるお話になります、私の日々の日課掃除の始まりは先ずは客殿、本堂の周りの廊下をダスキンで拭くこと、本当は雑巾がけなのですがこの年では無理なのでダスキンでご容赦頂いています。

そして、次にトイレ掃除を致します。

そのトイレ掃除ですが、修行時代のトイレ掃除の習慣とそうでなければ掃除を致した感じがしないのでですが、素手にスポンジを持ち、便器に直接手を入れて磨きます。

只、今はゴム手袋をはめて致しています、冬場に指先が割れ、水仕事が辛い指先で今も少し割れて辛い為です。

だいぶましになって来ましたので近いうちにはもとに戻せそうですが。

さて、素手で便器を擦り掃除を致しますと不思議に細かい汚れの拭き落としが有りません、他方、ゴム手袋をつけて拭きますとどうもうまく汚れが落とせません、それでも大雑把な所はクリアできますので今はそれで納得致しているのですが。

人の手の間隔の精密さを感じる所です。

先にこのお話しを致しましたのは、先日の水子供養へお越しの女性のお方のお参りの姿に思う所があったからです。

何時ものように本堂でお亡くなりの赤ちゃんへの回向を致し、その女性に本尊様前にお祀りのご自身の地蔵尊へのお焼香を促しました。

しずしずと焼香台へお越しになりましたのでお焼香をなされるのかと思いましたら、先に自身の地蔵尊を祀っている腰掛から自身の地蔵尊をお手に移され、両手で包み込まれました。

そして自身の顔に近づけられ、更に少し「ぎゅっと」握られ、その後お祀り用の腰掛に戻され、お伝え致した作法通りに焼香を済まされ、自身の席へお戻りなられました。

引き続きの蓮華堂でのお勤めも全く同じようになされ、焼香、合掌、礼拝をなされました。

地蔵尊の頭にそっと手を乗せられるお方は意外に多いのですが、地蔵尊を包み込まれる姿を拝見致したのはあまり記憶にありません。

実は私は本堂では致しませんが、蓮華堂では彼女と全く同じことを必ず致しております。

蓮華堂で、本尊地蔵尊へお勤めの後、合掌、礼拝、そして同席されている供養へお越しのお方に共に合掌、礼拝を頂くようお伝え致します。

その時に、此方も地蔵尊をお祀り致している石の腰掛がりますので、そこから地蔵尊を下げさせて頂いたうえで、地蔵尊を「両手に包み」、共に合掌、礼拝下さいと伝えています。

その時に心の中で「どうか、良き所へ転生下さい」と伝え合掌を致しています。

お越しの女性も心の中で「私の大切な赤ちゃんをお守り下さい」と念じておられたのでしょうか。

包み込むことでその想いがより届いて欲しいという気持ちがそうさせたのではないでしょうか。

そして、自分の想いの暖かい温度が伝わって欲しいとの気持ちがそうさせたのではないでしょうか。

先日にご縁をお繋ぎ頂いた女性の姿を拝見致しました時に、このお手合わせは彼女の暖かい心の温度がそのまま伝わるお手合わせであることに思い至らさせて頂きました。

人のその想いは、手合わせなさる姿に如実に観えるのだと思うことでした。

水子供養に限らず、先祖供養、大事な故人の追善の供養、別なくこ想いを忘れずにお手合わせをせねばとも思うことでした。

このブログを書いている部屋の外は大雨です、梅雨に入り雨が少なかったので少しほっとは致しています。

樹木のことを思い、この雨は有難いですが、これから暫くは「ジメジメ」との闘いでもあります、どなたも体調管理に留意なされお過ごし下さい。合掌